Tiffany.J『孤独人間解放』

死ぬまでに友達できたらいいな…

死の先の希望

夜が来るのが怖かった

日が暮れてから日が昇るまで、毎日怖くて一睡もできなかった

 

土曜と日曜と祝日が怖かった

連休は入念な準備と相当な覚悟が必要だった

 

一人になるのが怖かった

同じ家のどこかに家族がいても不安だった

 

家から出るのが怖かった

準備はできても玄関のドアを開けられなかった

 

人に会うのが怖かった

予定が入った瞬間からプレッシャーでおかしくなりそうだった

 

死ぬのが怖かった

それより、生と死の狭間を彷徨うような、

まさに死闘の時間に襲われるのがもっと怖かった

 

19歳のある朝、突然の発作に襲われてから

一瞬たりとも頭から離れない、猛烈な苦しさ

 

もうあんな思いはしたくない

強く願っている

 

願えば願うほど恐怖と焦りは加速度的に膨れ上がる

悪循環を生み、次の発作を手繰り寄せる

 

焦燥感が人生を自分の足で歩む自信を徐々に奪い

歯を食いしばって手に入れた職から逃避を図らせ

愛を錯覚させ間違った結婚を招いた

間違った結婚は全てを狂わせ人生を破滅へと追いやった

職も家も人も財産も、僅かにあった健康も、全てを失った

 

それからは

発作のこと以外は何も考えられなくなった

発作が起きた場合のシミュレーションが脳内をヘビロテし

心も体も24時間臨戦態勢

 

30歳を過ぎた大人が

幼い子どもを抱えた母親が

ベッドの上で恐怖に怯え、ただただ一日中泣き伏すことしかできなかった

まともに眠ることも、お腹を満たすことも、浴槽に浸かることもできなかった

 

まるで爆弾を抱えているかのように

少しでも体を動かせば爆発を引き起こし

火だるまになってのたうち回る

 

即死よりも恐ろしい地獄の時が5年を超えた頃

「死んだ方がラクなのではないか」と思うようになった

先天性疾患で生まれたことで物心ついた時から死を恐れ

幾度に渡る大病も死にたくない一心で乗り越え

生きることに執着していた私が、死の先に希望の亡霊を見た

 

と同時に

「この先の人生、今以上辛く苦しいことはない」と確信した

 

全細胞で警報が鳴り響いていた私の体がスーッと落ち着きを取り戻すのを感じた

 

 

 

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