地獄への道程
一人で生きるための身体的機能が先天的に欠落していた私は
自ずと周囲に頼らざるを得なかった
生まれた時から周囲の医療的看護的助けがないと即死という状況だったため
必然的に他人の心を読む癖がついた
自分の存在が常に親の負担になっている
親の言動の端々から伝わってきた
両親の性格もそういう感情に拍車をかけていたと思う
母親は自分が一番大変だと主張し
他人が切り出した話題でも乗っ取って自分の苦労話につなげる人
父親は「○○しないと■■してやらないぞ」と
脅しと交換条件で自分の言うことをきかせる人
こう書くととんでもない夫婦を想像されるかもしれないが
優しく真面目で社交的で面倒見も良い、世の中ではかなり善人に見られる人達だ
戦後のベビーラッシュ世代であり
戦争を生き抜いた祖父母に達の育て方や社会の常識は
私の世代とは全く異なる
それでも激動の時代に何とか自分をアップデートしてついて行こうとしている方だと思う
だから、
自分たちは正しく生きようとしているし正しく生きてきたと思っているわけで
先程の言動は無意識にしてしまっている人達なのだ
本当の毒親は自分が毒を持っていると気づいていないものだし
子どもは毒親だと気づく余地すらない
とにかく自分が悪いのだと思うし
嫌われてしまったら具合が悪くなった時に助けてもらえないかもしれないという恐怖感が常に先立ってしまうようになった
結果、対人関係でどれだけ嫌な気持ちになった時も
自分は迷惑をかける方の人間だからと
相手の心の動きを瞬時に察知しようとアンテナを張り巡らせ
相手の気分をできるだけ損ねないように発言や立ち回りを変化させ
そうやって細心の注意を払いながら生きる人生になった
後の検査で所謂ギフテッド2Eと呼ばれ
IQ特にEQ(感情面、共感能力)が飛び抜けて高いことがわかった
そのせいか保育園に入園した時から
他の子達はなぜこんなに人の気持ちがわからないのかといつも疑問に思っていた
自分が他人がどんな気持ちかを察するのが当たり前になっていたからだ
これは特殊能力ではなくて一種の統計学のようなものだと思う
他人の気持ちの事ばかりを考えているから
年を取るほどそれに関するデータが蓄積されていくのだ
10代になるとデータは膨大になり
他人の思考と自分の思考が重なるような感覚で
手に取るようにわかるようになった
昨日の記事にも書いた紛れたいのに目立ちたい
マジョリティに合わせて自分の脳を自由自在に変えていけるようになったのだが
だからといって自分が唯一無二の存在であることも主張したいから
脳は自己を否定しマジョリティに同化できても行動は制御しきれない
そうなると非常に人生が苦しい
そして19歳のある普通の朝、私は精神的な限界を迎えてしまった
自分に何が起きたのか全く分からないほど何の前触れもない突然の出来事だった
今ならわかる
マイノリティが重複した個性を押さえつけてマジョリティに身を隠そうとしていたために
外に見せる自分と本当の自分の乖離が限界に達した瞬間だったのだ
そこから私の人生は徐々に暗黒に引き込まれ
30歳からの10年間は真っ暗闇の底なし沼で溺れるような地獄の苦しみを味わった
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